
FXでは、利益を守ることがとても大切です。価格は常に動きます。思った方向に進むこともあれば、急に反対に動くこともあります。そのようなときには、「トレーリングストップ」という注文方法が役立ちます。この記事では、トレーリングストップの基本、メリットやデメリット、やり方を分かりやすく説明します。
トレーリングストップとは
トレーリングストップは、FXの注文方法(取引を終わらせる注文)の一つで、価格の動きに合わせて「逆指値(損切りのライン)」が自動的に追いかけて動く仕組みです。「トレール(追いかける)」という名前の通り、相場が自分にとって有利な方向へ動いた際、指定した幅を保ちながら決済ポイントが更新されていきます。
トレーリングストップの仕組み

トレーリングストップは、価格が有利な方向に動いたときだけ、損切りライン(逆指値)が自動で更新される仕組みです。あらかじめ設定した「トレーリング幅」を保ちながら、現在の価格に合わせて逆指値が動きます。価格が反対方向に動いた場合は、逆指値はそれ以上動きません。
例えば、買い注文の場合、価格が上昇すると逆指値も同じ幅を保ちながら引き上がります。一方、価格が下落した場合は逆指値は動きません。そして、価格がその逆指値の水準まで下がった時点で自動的に決済されます。つまり、上昇中は利益を追いかけ、反転したときに利益を確定する仕組みです。しかし、価格が高値をつけたあと下落すると、引き上がったストップラインの位置で自動的に決済注文が執行されます。図の「損切りで売却」と表示されている部分がそのポイントです。
具体例で、1ドル=150円で買い、トレーリング幅を100銭(1円)に設定したとします。このとき、最初の逆指値は149円です。価格が151円に上がると、逆指値は150円に引き上がります。さらに152円まで上がると、逆指値は151円に上がります。価格が上昇している間は、逆指値も同じ幅を保ちながら自動で更新されます。その後、価格が153円まで上昇したあと、相場が反転して下落したとします。価格が152円に下がった時点で、自動的に決済注文が執行されます。この場合、2円の利益を確保できます。
このように、トレーリングストップは価格の上昇に合わせて逆指値を動かし、相場が反転したときに自動で決済する注文方法です。
トレーリングストップのメリット・デメリット
トレーリングストップは、利益を追いかけながらリスクを抑えることができる非常に合理的な注文方法です。しかし、どんな便利なツールにも、仕組みを正しく理解しないと、思わぬタイミングで決済されることもあります。ここでは、メリットとデメリットを分かりやすく整理します。
トレーリングストップのメリット
① 利益を伸ばしながら損失を限定できる
トレーリングストップは、価格が有利な方向に動くと、損切りラインも自動で動きます。そのため、利益を伸ばしやすくなります。同時に、価格が反転したときは自動で決済されるため、利益を確保しつつ損失を小さく抑えることができます。
② 利益確定と損切りのバランスを調整できる
相場の状況に合わせて「どのくらいの値幅で追いかけるか」を自分で決められます。トレーリング幅を調整することで、利益とリスクのバランスを自分で決めることができます。幅を狭くすると小さな利益を確保しやすくなります。幅を広くすると値動きに余裕を持たせ、大きな利益を狙うことができます。
③ 相場を常に見なくても自動で更新される
一度設定すれば、システムが取引時間中は自動的に、決済ラインを自動で更新します。価格が有利な方向に動いた場合のみ、逆指値が調整されます。そのため、画面をずっと見続ける必要がありません。
④ 急激な値動きでも利益を守りやすい
相場が急上昇したあと、急激に下がることは珍しくありません。通常の固定型ストップロスでは、利益を十分に伸ばせない場合があります。トレーリングストップを使っていれば、高値圏まで上がった決済ラインがそのまま維持されます。そのため、急落が起きても自動的に高い位置で利益を確定させ、リスク管理に役立ちます。
トレーリングストップのデメリット
① 急変動時に不利な価格で約定する可能性
相場が急に大きく動いた場合、設定した価格よりも不利な価格で約定することがあります。特に重要な経済指標の発表時などは注意が必要です。これは、通常の逆指値注文と同じリスクです。
② トレーリング幅が不適切だと早期決済になる
追いかける値幅の設定はとても重要です。幅が狭すぎると、小さな値動きでも決済されてしまいます。逆に広すぎると、せっかく出た利益を多く減らしてから決済されることになります。
③ 一時的な値動きでも発動するリスクがある
相場は一直線には動きません。上昇トレンドの中でも、上下に小さく揺れながら進みます。この「一時的なノイズ」のような動きにトレーリングストップが反応してしまうと、想定より早く決済される場合があります。
④ 仕組みが複雑で初心者には扱いにくい
通常のストップロスよりも設定項目が多いため、最初は少し分かりにくい場合があります。トレーリング幅の考え方を理解するまで時間がかかることもあります。まずは少額で、どのように決済ラインが動くのかを実際に体験してみることが大切です。
⑤ 一部ツールや証券会社では利用できない場合がある
すべてのFX会社や取引ツールでこの機能が使えるわけではありません。自分が使っている口座がトレーリングストップに対応しているか、利用条件や対応状況は、各サービスの取引ルールで事前に確認する必要があります。
トレーリングストップのやり方
トレーリングストップは便利な注文方法ですが、正しい手順で設定することが重要です。設定を間違えると早期決済になる場合があります。ここでは基本の操作方法を解説します。
① 新規注文を出す
まずは通常どおりに新規注文を出します。買いでも売りでも設定できます。例えば、価格が上がると予想したときは「買い注文」から始め、逆に価格が下がると予想したときは「売り注文」から取引をスタートします。なお、FX会社では、注文と同時にトレーリングストップをセットできる「セット注文」機能があるツールも多いです。
② 決済メニューから「トレール注文」を選ぶ
新規注文が成立したあと、決済方法の中からトレーリングストップを選びます。注文タイプ(執行条件)の中から、「トレーリングストップ」または「トレール注文」という項目を探して選択してください。
③ トレーリング幅を設定して完了する
次に、トレーリング幅を決めます。トレーリング幅とは、現在の価格からどれくらい離して損切りラインを置くかという設定ですこれは、現在の価格からどれくらい離れたところに決済ラインを置くかという数値です。
- 幅を狭く設定(例:10銭)
少しの価格変動ですぐに利益が確定されます。コツコツ利益を積み上げたい人に向いていますが、大きな上昇トレンドには乗りにくいです。
- 幅を広く設定(例:100銭)
少しくらい価格が下がっても取引が続くため、 利益拡大を目指すことが可能です。ただし、トレンドが反転したときに、利益が大きく減ってから決済されるリスクがあります。
【おすすめポイント】
トレーリング幅を決めるときは、過去の値動きを確認することが大切です。相場の値幅が大きい場合は広めに、値動きが小さい場合は狭めに設定するとバランスが取りやすくなります。チャート分析には、価格の高値や安値、ボラティリティを確認できるTradingViewなどのツールも参考になります。
まとめ
トレーリングストップは、FXの注文方法の一つで、価格が有利な方向に動いたときに逆指値(損切りライン)を自動で更新する仕組みです。あらかじめ設定したトレーリング幅を保ちながら決済ポイントが動くため、相場が伸びている間は利益を追いかけ、反転したときに自動で決済されます。
この注文方法のメリットは、利益を伸ばしながら損失を抑えられる点です。また、トレーリング幅を調整することで、リスクとリターンのバランスを自分で決めることができます。一方で、設定する「トレーリング幅」が不適切だと、一時的な小さな値動き(ノイズ)で早期に決済されてしまい、その後の大きなトレンドを逃してしまうというデメリットもあります。
具体的なやり方は、新規注文を出す際、または注文成立後に決済メニューから「トレール注文」を選択し、任意の幅を設定するだけです。幅を狭くするとコツコツ利益を確定しやすくなりますが、利益拡大を狙うなら広めの設定が必要になります。その上で、過去のチャートを参考にしながら、自分の取引スタイルに合った設定を選ぶことで、より効果的に活用できます。
【免責事項】
この記事は、FXにおけるトレーリングストップ注文の仕組みや基本的について解説することを目的とした情報提供コンテンツです。特定の金融商品や取引を推奨するものではありません。損失のリスクがあるため、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。
よくある質問
回答:はい、変更できる場合が多いです。ポジションを保有している途中でも、取引画面からトレーリング幅を調整できます。
回答:トレーリング幅は、通貨ペアや相場の値動きによって変わります。値動きが大きい場合は広めに、小さい場合は狭めに設定します。過去のチャートを参考に決めることが大切です。
回答:多くの場合、そのFX会社で取り扱っている通貨ペアであれば利用できます。ただし、取引環境によっては利用できない場合もありますので、事前に確認することが大切です。
回答:はい、利用できます。ただし、仕組みを理解してから使うことが大切です。まずは少ない取引数量で練習し、どのように決済ラインが動くかを確認することをおすすめします。