
FX取引では、エントリーだけでなく「どこで利益を確定するか」「どこで損失を止めるか」を事前に考えることが大切です。そのときに役立つ注文方法の一つがOCO注文です。OCO注文を使うと、相場をずっと見ていなくても、あらかじめ決めた条件で自動的に取引が行われます。ここでは、FX初心者の方でも理解できるように、OCO注文の基本からメリット・デメリット、やり方までをわかりやすく解説します。
OCO注文とは
OCO注文(オーシーオー注文)とは、「One Cancels the Other」の略で、2つの注文を同時に発注し、片方が成立したらもう片方を自動でキャンセルする仕組みのFXの注文方法です。FX取引では、あらかじめ利益を確定したい価格と、損失を限定したい価格を同時に決めることが多くあります。OCO注文を使うことで、「利益確定」と「損切り」を一度に設定できます。
OCOの仕組み
OCO注文は、相場の状況や取引の目的に応じて、「新規注文の場合」と「決済注文の場合」の2つの使い方があります。どちらも、2つの注文を同時に出します。

- 新規注文の場合
まだポジションを持っていない状態で、現在の価格を中心にしているという予約を上下に設定する方法です。
画像の左側に示されているのは、まだポジションを保有していない状態で行う新規注文の例です。現在の価格を基準に、価格が上昇した場合には新規で売り、下落した場合には新規で買いが成立するよう、あらかじめ上下に注文を設定します。このほかにも、相場の流れに合わせて、上昇時に買い、下落時に売るといった形で新規注文を設定することもでき、取引スタイルに応じた柔軟な使い分けが行えます。
相場がどちらの方向に動くか分からない場面でも、あらかじめ狙った価格帯に注文を置いておくことで、値動きに合わせて有利な価格から取引をスタートさせたい場合に役立ちます。
- 決済注文の場合
すでにポジションを保有している状態で、現在の価格を基準に、利益確定と損切りの決済注文を上下に設定する方法です。
画像の右側に示されているのは、すでに買いポジションを保有している状態で決済注文を行う例です。現在値より上の価格帯には利益確定のための売り注文を、下の価格帯には損切りのための売り注文を、それぞれあらかじめ設定しています。
例えば、1ドル=150円で買ったポジションを保有している場合、「152円になったら売って利益を確定する」注文と、「148円まで下がったら売って損失を抑える」注文を同時に設定することで、価格変動に応じた決済を自動で行うことができます。
このようにOCO注文は、新規取引と決済のどちらにも対応でき、相場の動きを常に監視できない場合でも、自動で取引を管理できる仕組みです。
OCO注文とIFD注文の違い
OCO注文とよく似た注文方法に、IFD注文があります。どちらもFX取引で広く使われている注文方法ですが、注文の仕組みや利用する場面には明確な違いがあります。
まず、OCO注文は、主にすでにポジションを保有している状態で使用される決済注文です。利益確定と損切りという2つの決済注文を同時に設定し、どちらか一方が約定すると、もう一方の注文は自動的に取り消されます。
また、OCO注文は新規注文として使われる場合もあり、現在の価格を基準に「上に抜けたら買う」「下に抜けたら売る」といった2方向の新規注文を同時に出すことができます。この場合も、どちらか一方の注文が成立すると、もう一方は自動的にキャンセルされるため、「どちらか一方だけを成立させたい」という場面で有効な注文方法と言えます。そのため、価格がどちらの方向に動いても対応できる状態をあらかじめ作ることができ、リスク管理を効率よく行える点が特徴です。
例えば、買いポジションを保有している場合、価格が上昇した際の利益確定注文と、下落した際の損切り注文を同時に設定することで、相場を常に監視できない状況でも安心して取引を続けることができます。
一方で、IFD注文は「まだポジションを持っていない状態で使われる注文方法です。「もし新規注文が成立したら、その後に決済注文を出す」というように、新規注文と決済注文をあらかじめセットで設定します。
例えば、「〇〇円まで下がったら買い、その後〇〇円まで上がったら売って利益を確定する」といった取引を自動で行いたい場合に有効です。新規注文が成立してはじめて決済注文が有効になるため、エントリーから決済までを一連の流れとして管理できる点が特徴です。
【おすすめポイント】
簡単に言えば、OCO注文は決済注文(またはどちらか一方を成立させたい注文)のための方法であり、IFD注文は新規注文と決済注文を一連の流れで設定する方法という点が、OCO注文とIFD注文の大きな違いです。
OCO注文のメリット・デメリット
OCO注文は、利益確定と損切りを同時に設定できる便利な方法です。ただし、メリットとデメリットの両方があります。これらを理解して使いましょう。
OCO注文のメリット
① 利益確定と損切りを同時に設定できる
OCO注文の最大の特徴は、価格が有利な方向に動いた場合の利益確定と、不利な方向に動いた場合の損切りを、あらかじめ同時に設定できる点です。すでにポジションを保有している場合は、決済条件をまとめて管理でき、価格変動に応じた対応を自動化できます。また、まだポジションを持っていない場合でも、条件の異なる2つの新規注文を同時に設定することで、相場の動きに合わせて取引を開始できます。
② 片方が約定すると、もう一方は自動的にキャンセルされる
OCO注文では、いずれか一方の注文が約定すると、残ったもう片方の注文はシステムによって自動的にキャンセルされます。自分でキャンセルする手間が不要となり、注文を消し忘れたことによる意図しない取引を防ぐことができます。
③ リスク管理がしやすく、感情に流されない取引ができる
取引前に利益確定と許容損失の上限をあらかじめ設定しておくことで、リスク管理がしやすくなります。急な値動きがあっても感情に左右されず、あらかじめ決めたルール通りに取引できます。「もう少し待てば上がるかもしれない」といった迷いを防ぎ、損切りの遅れによる大きな損失を回避できます。
④ 自動執行で相場を常に監視する必要がない
OCO注文は、あらかじめ設定した価格に達すると自動で売買が実行されます。そのため、相場を常に確認する必要がありません。画面を見ていない時間でも取引が進むため、忙しい人でも無理がなく投資を続けられます。時間に余裕がない会社員の方にも使いやすい注文方法です。
OCO注文のデメリット
① 価格に到達しない場合は約定しない
設定した価格に相場が届かない場合、注文は約定しません。そのため、利益を得るチャンスや損失を限定するタイミングを逃すことがあります。特に相場が狭い範囲で動いている時は注意が必要です。
② 相場急変時に想定外の価格で約定する可能性がある
急激に変動する、設定した価格と実際の約定価格との間にずれが生じることがあります。特に、重要な経済指標の発表時などは、スリッページが発生しやすいため注意が必要です。
③ 価格設定を誤ると想定外の決済が起こる
現在の価格と近すぎる場所に注文を設定すると、少しの値動きですぐに決済されてしまうことがあります。まだ持ち続けたかったのに、設定ミスで意図しない損失を出したりしないよう、価格や数量などの入力には注意が必要です。
④ 一部の取引ツールや証券会社では利用できない場合
OCO注文は、すべての取引ツールや証券会社で利用できるわけではありません。簡易的なスマートフォンアプリや一部の口座・取引ツールでは使えない場合があります。利用前に、自分が使っている環境で対応しているかを確認しておくことが大切です。
OCO注文のやり方
一般的なFX会社のスマートフォンアプリや取引ツールを使った、基本的な設定の流れを説明します。会社によって画面のデザインは少し違いますが、操作の基本は同じです。
① ポジションを確認する(決済注文・新規注文 共通)
まず、FXアプリのメニューから「建玉一覧」や「保有ポジション」の画面を開きます。すでにポジションを保有している場合は、決済したい通貨ペアを選択し、「決済注文」へ進みます。または、まだポジションを持っていない場合は、新規注文としてOCO注文を利用します。
② 注文方法を「OCO」に切り替える
最初の画面では、注文方法が「成行(なりゆき)」や「通常」になっていることが多いです。 注文種類の選択メニューを開き、リストの中から「OCO(オーシーオー)」を選んで切り替えます。すると、価格を入力する欄が2つ表示されます。
③ 利益確定の価格を決める
次に、利益を確定したい価格(指値)を設定します。相場が想定通りに動いた場合、この価格に到達すると自動的に決済が行われます。
④ 損切りの価格を決める
続いて、損失を限定するための価格(逆指値)を設定します。相場が予想と反対に動いた場合でも、損失を一定範囲に抑えることができます。
⑤ 有効期限を決める
OCO注文をいつまで残しておくかを選びます。選択肢には、当日中のみ有効でその日の取引時間終了とともに自動的に注文が取り消されるものや、当該週末まで有効なもの、さらに無期限で発注し、指定した価格に到達するまで、または自分でキャンセルするまで注文が残り続けるものなどがあります。
⑥ 注文内容を確認して発注する
注文の方向や価格が正しいかをもう一度確認し、問題がなければ「注文発注(はっちゅう)」ボタンを押します。これで設定は完了です。どちらか一方の条件に達すると、自動で決済が行われます。
【おすすめポイント】
OCO注文は、利益確定と損切りの2つの価格を同時に設定する必要があるため、初心者にはやや複雑に感じることがあります。価格のイメージをつかむのが難しいことがあります。その場合は、チャート分析ツール(例:TradingView)を使うと便利です。過去の値動きを確認し、どのあたりに抵抗線や支持線があるかを参考にすると、利益確定や損切りの価格を決めやすくなります。
まとめ
OCO注文とは、2つの注文を同時に出し、どちらか一方が成立すると、もう一方が自動で取り消されるFXの注文方法です。OCO注文には、「新規注文」と「決済注文」の2つの使い方があります。新規注文の場合は、まだポジションを保有していない状態で、現在の価格を基準に、新規注文を同時に設定できます。または、決済注文の場合は、すでに保有しているポジションに対して、利益確定と損切りの注文を同時に設定します。
メリットは、事前に利益確定と損切りの条件を設定できるため、リスク管理がしやすく、感情に左右されにくい点です。自動で注文が執行されるので、相場を常に確認できない人にも適しています。一方で、価格が設定した水準に届かなければ約定しないことや、急変時に想定外の価格で約定する可能性には注意が必要です。
OCO注文の設定方法はシンプルで、注文画面で注文方法を「OCO」に切り替え、利益確定と損切りの価格を入力するだけです。なお、初心者の方は、チャートを確認しながら少額取引で慣れていくと安心です。仕組みを正しく理解して使うことで、FX取引をより安定して行うための有効な注文方法と言えます。
【免責事項】
この記事はOCO注文に関するに関する一般的な仕組みや考え方を説明するものです。投資には価格変動や損失のリスクが伴うため、実際に取引を行う際はご自身の判断と責任で行ってください。
よくある質問
回答:OCO注文とは、2つの決済注文を同時に出し、どちらか一方が成立すると、もう一方が自動で取り消される注文方法です。主に、利益確定と損切りを同時に設定するために使われます。
回答: OCO注文は、2つの注文を同時に出し、どちらか一方が成立するともう一方が自動で取り消される注文方法です。一方、IFD注文は、新規注文が成立した後に決済注文が出る仕組みで、エントリーから決済までをあらかじめセットしたい場合に使われます。
回答: いいえ、必ず成立するわけではありません。設定した価格に相場が届かない場合、どちらの注文も約定せずに残ることがあります。相場の動きや価格設定によっては、注文が成立しない可能性もあります。
回答: 相場の動きや自分が許容できる損失を考えた上で、無理のない価格に設定します。一般的には、過去のチャートを参考にして、抵抗線や支持線を目安に設定すると分かりやすいです。