FXでは、チャートの形から今後の値動きを予測する「チャートパターン分析」がよく使われます。これは、過去に何度も現れたチャートの形をもとにしています。その形のあとにどう動いたかを参考にして、「次はこう動くかもしれない」と予測する方法です。この記事では、チャートパターンの意味やタイプ、注意点をわかりやすく説明します。
FXのチャートパターンとは
FXでは、価格の動きをグラフで表した「チャート」を使って、今後の値動きを予想するのが一般的です。その中でも「チャートパターン」とは、過去のチャートで繰り返し現れる特徴的な形のことを指します。
このパターンには、投資家の心理や行動が表れています。そのため、「この形が出たら、次はこう動きやすい」といった傾向を読み取るのに使われます。例えば「ダブルトップ」や「トレンドラインのブレイク」などが有名なチャートパターンです。
FXのチャートパターンを知ることで、なんとなく売買するのではなく、根拠を持ってトレードできるようになります。初心者の方でも、基本的なパターンを少しずつ覚えていけば大丈夫です。そうすれば、相場の流れがだんだん見えてくるようになりますよ。
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FXのチャートパターンのタイプ
FXのチャートパターンには、大きく分けて2つのタイプがあります。それは「継続型のチャートパターン」と「反転型のチャートパターン」です。
継続型のチャートパターン一覧
継続型パターンは、現在のトレンド（上昇・下降）が今後も続く可能性が高いことを示しています。つまり、少し休んだ後に同じ方向にまた動き出すサインとも言えます。例えば「フラッグ」や「ペナント」などがこれにあたります。
上昇トライアングル
上昇トライアングルは、上昇トレンド中によく現れる「継続型パターン」の一つです。上が水平、下が切り上がる三角形を形成し、買いの力が強まっていることを示します。上値抵抗線を上抜けると、上昇基調が強まり、多くのトレーダーが買いエントリーの好機と判断します。
下降トライアングル
下降トライアングルは、上辺が切り下がる下向きの三角形で、チャート上に出現する下向き三角形のことを指します。そのため、売りの力が強まっているサインです。下値支持線を下抜けると下落基調が強まり、売りエントリーの好機として注目されます。
上昇ペナント
上昇ペナントは、強い上昇トレンドの途中に出現しやすい、価格が一時的に調整した後、再び上昇する可能性を示しています。形は、旗の先のように先細りの三角形になっているのが特徴です。価格が上下しながらだんだん動きが小さくなっていき、最終的に上方ブレイクすると、上昇トレンドが再開しやすいとされています。
下降ペナント
下降ペナントは、強い下落トレンドの途中に現れやすいパターンの一つです。価格が一時的に調整した後、再び下落に転じる可能性を示しています。このパターンは、売り圧力が一時的に弱まっているように見えても、下降トレンドが継続していることを示しています。「売りのサイン」が多くのトレーダーに注目されます。
上昇フラッグ
上昇フラッグは、強い上昇トレンドの途中によく現れるパターンの一つです。価格が一時的に下落して調整した後、再び上昇に転じる可能性を示しています。このパターンが出たあとに、フラッグの上限ラインを上に抜けると、再び勢いよく上昇するケースが多く見られます。そのため、多くのトレーダーが「買いのサイン」として注目されています。
下降フラッグ
下降フラッグは、強い下落トレンドの途中に出現しやすい、一時的に反発（小さな上昇）したあと、再び下落する可能性があることを示しています。このパターンが出たあとに、下方向へブレイクすると、大きな下落につながることが多いため、「売りのサイン」として注目されています。
上昇レクタングル
上昇レクタングルは、価格が一定の範囲内で横ばいに動く「箱」のような状態が続いたあと、上方向にブレイクし、上昇トレンドが再開する可能性を示唆します。このパターンは、上昇トレンドの途中に一時的なもみ合い（レンジ相場）が発生し、そのあと再びトレンドが継続する形です。一見すると買いと売りの勢力が拮抗しているように見えますが、最終的に買いの力が勝ち、上にブレイクすることが多いです。
下降レクタングル
下降レクタングルは、価格が一定の範囲で横ばいに動く「箱」のような形のあとに、下方向にブレイクし、下降トレンドが再開する可能性を示唆します.。このパターンは、下降トレンドの途中で一時的なもみ合い（レンジ相場）が形成されます。その後に売りの勢いが強まり、下にブレイクする形です。一見すると買いと売りの勢力が拮抗しているように見えますが、最終的には売りの勢いが優勢となり、下方へブレイクするケースが多く見られます。
上昇ウェッジ
上昇ウェッジとは、チャート上で価格が上昇しながらも、高値と安値のレンジが徐々に収束していく形を指します。三角形のような形をしていて、ローソク足がその範囲内で推移するのが特徴です。このパターンは、上昇トレンドの中で一時的な調整や力強さの変化を表すサインです。注目すべきポイントは、価格がどちらの方向にブレイクするかという点です。
- 上側（上値抵抗線）を抜けた場合は、「上昇トレンドが続く」と判断されるため、買いのサインになります。
- 下側（下値支持線）を抜けた場合は、「上昇が終わって下落に転じる」と考えられ、売りのサインになります。
下降ウェッジ
下降ウェッジは、チャート上で下降トレンドの途中で現れるチャートパターンです。その中で、上値と下値のレンジが徐々に収束していくのが特徴です。ローソク足が徐々に狭まる三角形の中で推移していくのが特徴です。このパターンは、「下落の勢いが弱くなっていること」を示すサインでもあり、今後の反発やトレンド転換に注目すべき重要な局面です。
下降ウェッジで注目すべきポイントは、価格がどちらの方向にブレイクするかという点です。上側（上値抵抗線）を抜けた場合は、下落が終わって上昇に転じる反転サインとなり、買いのチャンスとされます。ただし、下側（下値支持線）を抜けた場合は、下落トレンドがそのまま続くと判断されます。そのため、売りシグナルとして判断されます。
カップ＆ハンドル
カップ＆ハンドルは、名前の通り、カップ（カップのような丸い底）とハンドル（取っ手のような小さな下げ）の形に見えるのが特徴です。このパターンは、買いの勢いが一度落ち着いたあと、再び力をためて上昇する流れを表して、多くのトレーダーが「買いシグナル」として注目しています。
反転型のチャートパターン一覧
反転型パターンは、現在のトレンドが終了し、相場が反対方向へ転換する可能性を示すサインです。例えば、上昇トレンドが続いたあと、下落に転じる局面で出現しやすい「ダブルトップ」や「ヘッドアンドショルダー」などが代表的です。
ヘッド＆ショルダーズトップ（三尊天井）
ヘッド＆ショルダートップは、相場の「天井圏（高値圏）」でよく見られる「反転型のチャートパターン」の一つで、人の肩と頭をかたどったような形状が特徴です。上昇トレンドの終焉と下落への転換を示唆するサインとされています。
3つ目の山（右肩）をつけたあと、ネックライン（底のライン）を下に抜けると、トレンドが反転しやすく、その後大きな下落局面につながるケースも少なくありません。そのため、「売りのシグナル」として多くのトレーダーに注目されています。
ヘッド＆ショルダーズボトム（逆三尊）
ヘッド＆ショルダーボトムは、「逆三尊」とも呼ばれます。相場の底で見られる「反転型のチャートパターン」のひとつです。下落トレンドが終わり、上昇へ転じるサインとされています。
この3つの谷が並んだあと、「ネックライン」と呼ばれる上のラインを上抜けると、上昇トレンドに転換しやすくなります。そのため、「買いのチャンス」として多くのトレーダーに注目されます。
ダブルトップ
ダブルトップは、上昇トレンドの終焉と下落への転換を示唆するパターンとして知られています。このパターンは、ほぼ同じ高さの山が2つ並んだ形をしています。最初の高値から一度下がり、再び同水準まで上昇したあとに反落すると、ダブルトップが形成されます。
ダブルボトム
ダブルボトムは、下落トレンドの終焉と上昇への転換を示唆するパターンとして知られています。このパターンは、ほぼ同水準の安値を2度つけた「W字型」の形状が特徴です。一度反発を挟み、再び同水準まで下落したあとに上昇へ転じると、ダブルボトムが形成されます。
トリプルトップ
トリプルトップは、上昇トレンドが終わり、下落へ転じる可能性を示すサインとされています。このパターンは、ほぼ同じ高さの山が3つ並ぶ形をして、「上値が重く、それ以上に上がりにくい」状況を表しています。3回高値を試しても超えられない場合、上昇の勢いが弱まっていると考えられます。その後、安値のライン（ネックライン）を下に抜けると、下落トレンドに入ることが多いです。
トリプルボトム
トリプルボトムは、下落トレンドの終焉と上昇への転換を示唆する反転型のチャートパターンとして知られています。このパターンは、ほぼほぼ同水準の安値を3度つけた「Wのような形状」が特徴です。3回下げてもそれ以上下がらず、安値が強固なサポートとして機能している状況を示しています。
ソーサートップ
ソーサートップは、ゆるやかな曲線を描きながら高値圏を形成し、その後緩やかに下落していく反転型のチャートパターンです。名前の通り、お皿（ソーサー）を逆さにしたような形になるのが特徴です。このパターンは、急激な変化ではなく、買いの勢いが徐々に弱まっていく、売りの流れに変わっていく相場を表しています。そのため、見た目はなだらかで、一見するとトレンドが終わったように見えにくいのですが、気づかないうちに相場が反転しているケースもあるため、注意が必要です。
ソーサーボトム
ソーサーボトムは、相場がゆるやかに底を打ち、徐々に上昇へと転じていく反転型のチャートパターンです。お皿（ソーサー）を上向きにしたような、なだらかなカーブが特徴です。このパターンは、急な反発ではなく、売りの勢いが徐々に弱まり、時間をかけて買いの流れに変わっていくことを示しています。チャート上では、価格が少しずつ下げ止まり、底をつけてから徐々に上昇していく形になります。
スパイクトップ
スパイクトップは、価格が急激に上昇したあと、一気に反転して下落する反転型のチャートパターンです。名前の通り、チャート上では鋭く尖った山（スパイク）のような形状を示します。このパターンは、一時的な過熱感や買われすぎによって急上昇した相場が、勢いを失って急落に転じる局面で現れることがあります。上昇が急すぎるほど、その後の下落も強くなりやすいため、注意が必要です。
スパイクボトム
スパイクボトムは、価格が急落したあと、すぐに反発して上昇へ転じる反転型のチャートパターンです。チャート上では、鋭く尖った谷（スパイク）のような形になります。短時間で底を打つような急激な値動きが特徴です。このパターンは、強い売りが一気に出たあとに、急激な買い戻しや反発が起きることで出現します。特に、過剰な売られすぎ（パニック売り）のあとに起きやすく、短時間でトレンドが切り替わることがあります。
FXのチャートパターン分析の注意点
チャートパターンは、FXトレードにおいて有力な分析手法の一つですが、必ずしも100%の精度を保証するものではありません。以下のポイントに注意して使うことが大切です。
1. パターンは「完成」してから判断する
多くの初心者が陥りやすいのは、まだ完成していないパターンで先に動いてしまうことです。チャートパターンは、ブレイク（上下に抜ける動き）やネックラインの突破が確認されてから判断することが重要です。
2. ダマシに注意
一度ブレイクしたように見えても、すぐに逆方向へ反転するケースがあります。これを「ダマシ」と呼びます。できるだけ出来高やローソク足の勢いなども確認し、パターンの信頼性を高めることが重要です。
3. 他のテクニカル指標と組み合わせる
チャートパターンだけに頼らず、移動平均線・RSI・MACDなどの指標と一緒に使うことで、判断の精度を高めることができます。複数の根拠を組み合わせることで、トレードの成功率向上が期待できます。
| 【おすすめポイント】 FXのチャートパターンの仕組み以外にも、投資に役立つさまざまなテクニカル分析をすることができます。 |
まとめ
FXでは、チャートを通じて価格の推移を確認しながら、次にどこへ動くかを予想するのが基本です。その中でも「チャートパターン」とは、過去に何度も現れた形をもとに、今後の値動きを予測するための分析手法の一つです。
チャートパターンには大きく分けて2種類あります。一つは継続型です。これは現在のトレンド（上昇または下落）がそのまま続くかもしれないというサインです。例えば「フラッグ」や「ペナント」「トライアングル」などが挙げられます。
もう一つは反転型です。これは現在のトレンドが終了し、逆方向へ転換する可能性を示すパターンです。「ダブルトップ」や「ヘッド＆ショルダー」などが代表的です。ただし、チャートパターンは万能ではありません。ダマシが起こることもあり、パターンの完成を確認してから判断することや、他のテクニカル指標と組み合わせて分析することが重要です。
| 【免責事項】 この記事は、FXのチャートパターンに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、自分の責任において行ってください。また、投資には元本割れを含むリスクがあることをご理解ください。 |
よくある問題
回答: 100%当たるわけではありませんが、トレンドの方向性や反転の可能性を把握するための有効な手掛かりとなります。他のテクニカル指標と併用することで、分析の精度を高めることができます。
回答: 継続型は「現在のトレンドが継続する可能性を示す」サイン、反転型は「トレンドが転換し、反対方向に動く可能性を示す」サインを示します。相場の状況に応じて使い分けることが重要です。
回答: まずは、ダブルトップやダブルボトム、ヘッド＆ショルダー、フラッグ、ペナントなど、形がシンプルでわかりやすいパターンから覚えるのがおすすめです。