
投資信託には「インデックスファンド(パッシブファンド)」と「アクティブファンド」の2種類があります。特にアクティブファンドは市場平均・インデックスを上回るリターンを目指して、ファンドマネージャーが積極的に銘柄選定や売買の判断を行う運用スタイルです。経済や企業の動向を分析し、将来性のある資産に投資することで、より高い成果が期待できます。
この記事では、アクティブファンドの基本的な仕組みやインデックスファンドとの違い、種類、メリット・デメリット、そして選び方まで解説します。自分に合った投資スタイルを見つけるための参考にしてください。
アクティブファンドとは
アクティブファンドとは、市場平均を上回る投資成果を目指して、ファンドマネージャーが積極的に銘柄選定や売買を行う投資信託です。市場全体の動きを反映するインデックスファンドとは異なり、より高いリターンを追求することを目的としています。
アクティブファンドの基本的な仕組み
アクティブファンドの基本的な仕組みは、ファンドマネージャーが経済指標や企業の財務状況、業績などを継続的に分析しながら、投資対象を選定・入れ替えしていきます。
特定のセクターやテーマに注目するファンドもあり、市場全体の動きとは異なる独自の戦略で運用されるケースが多いのが特徴です。
また、リスク管理や分散投資の手法も多様で、ファンドによって投資スタイルが大きく異なる点もアクティブ運用の特徴と言えます。さらに、景気が不安定な時期にはディフェンシブ銘柄に比重を移すなど、戦略的な対応が可能です。
ただし、市場平均を上回るリターンを目指す積極的な運用には、調査や分析などのコストがかかるため、信託報酬はインデックスファンドよりも高めに設定される傾向があります。
アクティブファンドの運用手法
アクティブファンドでは、ファンドマネージャーが市場を分析し、投資対象を選定するため、さまざまな分析手法が活用されます。その際に用いられる主な分析手法には、「トップダウン分析」と「ボトムアップ分析」の2種類があります。これらの分析手法は、投資判断において重要な役割を果たし、目的や市場環境に応じて使い分けられます。
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチは、マクロ経済の視点から投資判断を行う方法です。 まず、世界経済や金利、為替、インフレ率、政府の政策などの大局的な要因を分析します。 次に、有望な国・地域・業界を絞り込みます。その後、最終的に個別企業や銘柄を選定するという流れで行われます。
この手法は、アクティブファンドにおいて、市場環境に適した投資先を見極めるための基本的かつ戦略的な運用方法の一つとして重要な役割を果たしています。この分析では、景気循環や市場全体のトレンドを重視し、資産配分や業種別の配分戦略にも活用されています。

ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチは、マクロ経済や業界全体の動向よりも、個別企業の財務状況や成長性、ビジネスモデル、経営陣の質などの要素を重視して投資判断を行う方法です。また、株価が割安な企業を選ぶバリュー型や高成長企業を重視するグロース型などの企業ごとの特性に応じた戦略が取られます。
この手法では、企業そのものの実力や将来性に注目し、市場全体が低迷していても魅力的な銘柄を見つけ出すことが可能です。このアプローチは、アクティブファンドにおいて、長期的な視点で優良企業を見極め、戦略的なポートフォリオを構築するための重要な手法の一つとされています。

アクティブファンドとインデックスファンドの違い
投資信託には「アクティブファンド」と「インデックスファンド」の2種類があり、それぞれ運用方針やコスト、リターンの性質が異なります。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが市場や企業の分析を行い、有望な銘柄を選定して、市場平均・ベンチマークを上回る成果を目指す運用スタイルです。高いリターンが期待できる一方、調査や運用の手間がかかるため、信託報酬は高めに設定される傾向があります。
一方、インデックスファンドは、日経平均やS&P500などの株価指数に連動するように設計されており、低コストで広く分散投資が可能です。個別企業を選定するのではなく、市場全体の動きを反映する形で資産が配分されるため、運用の手間が少なく、コストも抑えられます。
ただし、両者にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、自分の投資目的やリスク許容度に応じて選ぶことが重要です。
アクティブファンドの種類
アクティブファンドには、運用方針や投資戦略、目指すリターンなどの違いによってさまざまな種類があります。ここでは代表的な2つ、「グロース型」と「バリュー型」についてご紹介します。それぞれの特徴を理解することで、自分の投資目的やリスク許容度に合ったファンドを選びやすくなります。
グロース型
グロース型は、将来的な成長が期待される企業への投資を重視する運用スタイルです。業績の伸びや市場シェアの拡大、革新的な技術などを評価基準とし、テクノロジーやバイオ、医療、再生可能エネルギーなどの成長分野を中心に、売上や利益の拡大が見込まれる企業に集中的に投資します。短期的な利益よりも中長期的な成長性を重視します。高いキャピタルゲインが期待できる一方で、株価の変動リスクも大きくなりやすいのが特徴です。
バリュー型
バリュー型は、企業の本質的価値(ファンダメンタルズ)に対して株価が割安と判断される銘柄に投資するスタイルです。PERやPBRが低い、配当利回りが高いといった財務指標を重視します。その回復とともに株価上昇を見込んで投資を行うのが基本戦略で、市場で一時的に過小評価されている企業の株価回復を狙います。バリュー型は、一般的に安定した収益や配当を重視するスタイルでもあります。
アクティブファンドのメリット・デメリット
アクティブファンドとは、ファンドマネージャーが分析と判断をもとに銘柄を選定し、市場平均・ベンチマークを上回るリターンを目指して運用される投資信託です。これは高い成果を期待できる一方で、リスクやコストも伴います。以下では、これのメリットとデメリットを解説します。
アクティブファンドのメリット
① 高いリターンの可能性
アクティブファンドの魅力は、市場平均を上回るリターンを狙えるポイントです。優れたファンドマネージャーの判断により、有望な銘柄の選定や相場下落時の柔軟な対応が可能で、パッシブ運用にはない積極的な戦略が取れます。
② 専門家の分析に基づいた投資
アクティブファンドの強みは、専門家による銘柄選定と相場状況に応じた柔軟な対応力にあります。個人では調査が難しい企業や業界にも投資できます。市場が不安定な局面では、ファンドマネージャーの判断によってリスク回避が図れるのが特徴です。
③ 柔軟な投資戦略
アクティブファンドの魅力の一つは、ファンドマネージャーが経済や市場の動向を見極め、銘柄や資産配分、投資タイミングを柔軟に調整できるのが特長です。これにより、変化の激しい相場でも的確な判断ができ、機動的な運用が可能です。
アクティブファンドのデメリット
① 信託報酬などのコストが高い
アクティブファンドは、銘柄選定や市場分析に多くの労力と専門知識が必要となるため、インデックスファンドに比べて信託報酬や管理費などのコストが高めに設定されています。
② ファンドマネージャーの力量が成果を左右する
アクティブファンドはファンドマネージャーの判断に基づいて運用されるため、相場の見通しを誤った場合や判断ミスがあった場合には、市場平均を下回るリターンになるリスクがあります。
③ 市場平均を下回るリスク
アクティブファンドは市場平均を上回るリターンを目指して運用されますが、実際にはすべてのファンドが成果を上げられるわけではありません。ファンドマネージャーの判断や情報の偏りに左右されやすく、積極的な運用が逆効果となり、市場平均を下回るリスクも伴います。
【おすすめポイント】
アクティブファンドは市場や運用者の判断によって成果が変動し、インデックスファンドとはコストや方針が異なります。リスクと特徴を理解し、運用状況を定期的に確認しましょう。
アクティブファンドを選ぶ際
アクティブファンドを選ぶ際は、単に高いリターンが期待できそうという理由だけで選ぶのではなく、複数の観点から総合的に判断することが重要です。自分の投資スタンスや目的に合ったファンドを選ぶためには、以下のようなポイントを意識しましょう。
① 運用実績の安定性を確認しよう
アクティブファンドを選ぶ際は、直近の成績だけでなく、3〜5年程度の長期的な運用実績やリターンの安定性を確認することが重要です。また、リスクに見合ったリターンが得られているかを示す「シャープレシオ」などの指標も参考になります。
② ファンドマネージャーの実力と運用方針
アクティブファンドでは、誰がどのような方針でファンドを運用しているのかを確認します。ファンドマネージャーの経験や実績に加え、銘柄選定の方針や運用スタンスが自分の投資目的に合っているかを確認しましょう。あわせて、運用会社の透明性や信頼性もチェックしておくと安心です。
③ 投資スタイルや対象が自分に合っているか?
アクティブファンドは、グロース型やバリュー型などスタイルの違い・投資対象となる業種・地域の選び方にファンドごとの個性があります。そのため、自分のリスク許容度や関心と合っているかを確認することが大切です。
④ 手数料を確認しよう
アクティブファンドは一般的に信託報酬などのコストが高めに設定されています。長期保有を前提とする場合、購入時手数料や運用中の実質コストを確認し、それに見合うリターンが期待できるかどうかを冷静に判断することが重要です。
【免責事項】
この記事はアクティブファンドに関する一般的な情報を提供するものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。内容は作成時点の情報に基づく、最新の運用状況や条件は必ず公式情報をご確認のうえ、最終的な投資判断は自己責任で行ってください。
まとめ
アクティブファンドは、市場平均・インデックスを上回るリターンを目指し、ファンドマネージャーが積極的に銘柄選定や売買を行う投資信託です。経済指標や企業業績を分析し、ポートフォリオを柔軟に組み替えることで高リターンを目指します。運用手法にはマクロ経済から投資先を絞る「トップダウンアプローチ」と、個別企業の分析を重視する「ボトムアップアプローチ」があります。インデックスファンドとは異なり、高いリターンを追求する一方で、信託報酬は高めです。
種類としては、成長企業に投資する「グロース型」と割安な企業に投資する「バリュー型」があります。それぞれ運用方針や投資戦略、目指すリターンなどに違いがあります。
アクティブファンドは、高いリターンの可能性、専門家の分析に基づいた投資、柔軟な投資戦略がメリットとして挙げられます。一方で、信託報酬などのコストが高く、ファンドマネージャーの力量が成果を左右し、市場平均を下回るリスクがあることがあります。
また、アクティブファンドを選ぶ際は、運用実績の安定性、ファンドマネージャーの実力と運用方針、自身の投資スタイルとの適合性、そして手数料を総合的に判断することが重要です。
よくある質問
回答: アクティブファンドとは、ファンドマネージャーが銘柄を選び、市場平均・インデックスを上回る成果を目指して運用する投資信託です。これは分析や判断に基づく積極的な運用を行います。また、インデックスファンドより運用コストが高い傾向があります。
回答: アクティブファンドは、運用者が市場平均を上回る成果を目指して積極的に運用する投資信託です。一方、インデックスファンドは、日経平均やS&P500などの指数に連動する運用を目指すパッシブ型の投資信託です。
回答: アクティブファンドにはいくつかの種類があり、代表的なのが「グロース型」と「バリュー型」です。それぞれ運用方針や投資戦略、目指すリターンなどが異なります。
回答: アクティブファンドは市場を上回るリターンを目指し、多少のリスクを取ってもよいと考える中長期の投資家に適しています。また、自分で銘柄選びをしたくないが高いリターンを狙いたい方、経済や企業分析に関心のある方にもおすすめです。