
「注文したはずの価格と違う」そんな経験があるなら、それはスリッページかもしれません。スリッページは、取引時に起こる価格のズレです。放っておくと知らないうちに損することもあります。
この記事では、そんなスリッページの基本的な仕組みや発生する理由、対策の方法についてせつめいします。さらに、設定のコツも初心者にもわかりやすく解説します。
スリッページとは?初心者にもわかりやすく解説
スリッページとは、注文時の価格と実際の約定価格の差のことを指します。例えば、1ドル100円で買いたいと思って注文を出しても、実際には100.2円で約定されることがあります。この0.2円の差がスリッページです。
簡単に言えば、スリッページは注文時に想定していた価格と、実際に取引が成立した価格との間に生じる「ズレ」のことです。こうしたズレは、相場が急に動いた時や、取引量が少ない時間帯によく発生します。
スリッページには、「ネガティブスリッページ(不利な価格で約定)」と「ポジティブスリッページ(有利な価格で約定)」の2種類があります。しかし、多くの場合、問題となるのはネガティブスリッページです。
| 【おすすめポイント】 スリッページとは、主にFXや株式取引、暗号資産(仮想通貨)などの金融取引でよく見られます。価格が急に動いたときや、市場の流動性が低いときに起こりやすく、意図した価格で売買できないことがあります。 |
FXにおけるスリッページとは
FXのスリッページとは、このようなズレが起こる原因は相場の急変や取引量の少なさなどです。特に経済指標の発表時や重要なニュースが出たときなどです。市場が大きく変動しているときにはスリッページが発生しやすくなります。また、早朝や深夜など、市場参加者が少ない時間帯も注意が必要です。
スリッページの単位は何ですか?
スリッページの単位は、主に「ピップス」または「銭」で表されます。どちらも価格の変動幅を示す単位です。ただし、その使われ方は取引する通貨ペアや市場によって異なります。
例えば、ドル/円(USD/JPY)のような円が関係する通貨ペアでは、「1銭=0.01円」として表現されるのが一般的です。つまり、スリッページが「2銭」と言えば、0.02円のズレがあったという意味になります。
一方で、ユーロ/ドル(EUR/USD)などの通貨ペアでは、「pips(ピップス)」が使われます。一般的に、1 pip は「0.0001(=1/10000)」を指します。例えば、EUR/USDでスリッページが「3 pips」なら、それは0.0003ドルの価格差ということです。このように、スリッページの単位は通貨ペアによって異なります。
スリッページが発生する原因
スリッページが発生する主な原因は、注文と約定の間にタイムラグが生じることです。その間に価格が変動してしまうためです。FXのようなマーケットでは、価格が常にリアルタイムで動いています。そのため、注文を出した瞬間と実際に取引が成立する瞬間の価格が一致しないことがあります。具体的な原因としては、以下のようなものがあります:
- 相場の急変動
経済指標の発表や重要なニュースが発表されたとき、市場が急激に変動することがあります。このようなタイミングでは、注文が殺到し、価格も一気に動きます。そのため、スリッページが発生しやすくなります。 - 流動性の低下
市場に買い手や売り手が少ないと、注文に対してすぐにマッチする価格が見つからず、意図しない価格で約定することがあります。特に早朝や週明け・週末など、取引量が少ない時間帯には注意が必要です。 - システムや通信の遅延
取引ツールやインターネット回線の遅延も、スリッページの原因となります。注文がサーバーに届くまでに時間がかかることがあります。その間に価格が動いてしまう可能性があります。
このように、スリッページはさまざまな理由で起こります。そのため、事前に原因を知っておくことで、リスクをある程度コントロールすることが可能です。特に初心者の方は、急な相場変動時や低流動性の時間帯を避けるなど、対策を意識しておくと安心です。
スリッページの対策
スリッページを完全に避けることは難しいです。ただし、いくつかの工夫や設定によって、リスクを軽減することが可能です。以下は、初心者でも実践しやすいスリッページ対策です。
- 指値注文を使う
成行注文は「今すぐ取引する」ことを優先します。そのため、スリッページが起きやすくなります。それに対して、指値注文は「この価格で取引したい」と条件を決めて注文するため、指定した価格での約定が優先され、スリッページを抑えることができます。 - 重要な経済指標の前後は取引を避ける
雇用統計や政策金利の発表など、市場に大きな影響を与える経済指標の発表時には、価格が急変しやすくスリッページが発生するリスクが高まります。初心者のうちは、経済指標のカレンダーに確認しましょう。こうした時間帯の取引を控えるのが安全です。 - 取引時間帯を見極める
早朝や深夜など、市場の参加者が少ない時間帯は流動性が低くなります。そのため、スリッページが発生しやすくなります。取引量の多い時間帯を狙うと、より安定した取引がしやすくなります。 - スリッページ許容設定を活用する
一部のFX業者では、スリッページの許容範囲を設定を設定できる機能があります。あらかじめ「この範囲までならズレてもいいです。」と設定しておくことで、大きなズレによる想定外の約定を防ぐことができます。
スリッページは回避できますか?
スリッページは、100%回避することは難しいです。ただし、取引の仕方や使用する業者によってスリッページの発生頻度や影響を大幅に抑えることが可能です。
まず、指値注文を使うことは基本的な対策です。成行注文は「今すぐ約定させる」ため、どんな価格でも取引が成立します。しかし、指値注文なら自分が納得できる価格でのみ取引が成立します。そのため、不利なスリッページを避けやすくなります。
また、スリッページの許容幅を設定できる機能を活用するのも効果的です。多くのFX業者では、「何pipsまでのズレなら許容するか」を事前に設定できるため、大きな価格の飛びを防ぐことができます。
さらに、注文処理のスピードが速いFX業者を選ぶことも非常に重要です。サーバーの性能が高く、約定力の強い業者で取引することで、スリッページのリスクを最小限に抑えることができます。
スリッページ設定はどのくらいにすればいい?
FXの取引プラットフォームでは、「スリッページ許容範囲」を自分で設定できる機能があります。これは、注文時にどの程度まで価格のズレを許容するかを指定するものです。取引の安定性や執行スピードに影響を与える重要な項目です。では、スリッページ設定は実際どのくらいにすればいいのでしょうか?
初心者の方には、まず1〜3 pips程度に設定することが一般的です。あまりにも厳しく設定すると、価格が少しでもずれた場合に約定しなくなってしまいます。そのため、せっかくの機会を逃してしまう可能性があります。一方、許容範囲を広くしすぎると、不利な価格で約定するリスクが高まります。
| 【免責事項】 この記事は、スリッページに関する一般的な情報を提供することを目的として、特定の投資手法や金融商品を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は自分の責任で行ってください。投資には元本割れを含むリスクがあることをご理解ください。 |
まとめ
スリッページとは、注文した価格と実際の約定価格にズレが生じる現象のことです。FXなどの相場が常に動いている金融取引ではよくあることです特に相場が急変したときや取引量が少ない時間帯に発生しやすくなります。
スリッページには「不利なズレ(ネガティブスリッページ)」と「有利なズレ(ポジティブスリッページ)」があります。しかし、多くの場合は不利な価格での約定が問題になります。
スリッページは、100%に回避できません。でも、指値注文を使ったり、スリッページ許容範囲を設定したり、取引時間帯を選んだりすることで対応できます。こうした工夫によって、リスクを抑えることができます。また、信頼できるFX業者を選ぶことも非常に重要です。
| 【おすすめポイント】 スリッページ以外にも、投資に役立つさまざまな用語を学ぶことができます。詳しくは「FX用語集」でチェックしてみましょう。 |
よくある問題
回答:それはスリッページが発生しているからです。注文と約定の間にタイムラグがあり、その間に相場が動くと、想定と違う価格で取引が成立することがあります。
回答:スリッページは主に「ピップス」や「銭」で表されます。ドル/円の場合は1銭=0.01円、ユーロ/ドルなどでは1 pip=0.0001ドルで表されます。
回答:指値注文を使い、スリッページの許容範囲を設定し、取引の時間帯を選ぶなどが効果的です。また、相場が大きく動く経済指標の発表時は、取引を控えるのも良い対策です。